――不覚。

 一生の不覚だわ……。


 清瀬の奴、さも勉強出来ないフリして近付いてきたと思ったら。

 『今回よく頑張ったな清瀬! うちのクラスで唯一の“満点”だぞ』って、どうゆうことよ!? 話が全然違うじゃない!

 答案用紙が返却された後、すぐさま清瀬を問い詰めたら、奴はしれっとした顔でスルーし、何も答えてくれなかった。

 なので仕方なく中等部から在籍している生徒に清瀬のことを聞いてみたら、なんとそこで驚くべき事実が発覚!

 証言によると、清瀬はもともと成績優秀で、高等部に上がるまで常に『学年トップ』だったらしい。

 更には勉強だけに留まらず、音楽・美術・スポーツとあらゆる分野で活躍。何をやらせても完璧かつオール5の通知表で周囲を圧倒していたそうだ。

 噂によると生まれ持ったIQがずば抜けて高い天才として、あの清瀬一族の中でもひと目置かれる存在だとか。

 なんでも出来る故に、どこへいっても『特別扱い』されることに嫌気が差したのか、次第に授業もサボりがちになって。

 周囲の期待を裏切るように女遊びを繰り返し、まともにテストを受けなくなった結果、学年順位が低くなり、高校から知り合った私が『清瀬は勉強出来ない』と誤解する原因となっていた。


 話しを聞けば聞くほど、今の清瀬の姿からは到底想像もつかないわ……。


 でも実際、清瀬が本気出したら凄いというのは事実だった。

 その証拠に、この前の中間試験で全教科満点を叩き出し、学年1位を獲ったから。

 どうやら秘かに数学以外の科目も勉強していたらしく、私が死守していた順位をあっさり抜かれてしまった。


 ……この私が、清瀬に次いで“2位“ですって……!?


 順位表が発表された当日、ショックで膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。


 ――それ以来、以前にも増して清瀬を目の敵にするように。


 だって、そうでしょ?

 人が真剣に勉強を教えてる間、あの男は『ガリ勉乙。俺が本気出したらこんなん楽勝、マジちょれぇw』とか腹の底で人のこと馬鹿にしてたのよ!?


 絶っっっ対に許すまじ、清瀬……っ!!

 もう金輪際アイツと関わるもんですか!

 ……って、言いたいところだけれど。