「ちょっと。なんで"ソレ”を付けてきてるわけ?」


 清瀬と出かけた日から2日経った、翌週の月曜日。


 朝、下駄箱の前でバッタリ遭遇した清瀬に「はよー」と欠伸混じりの挨拶をされ、挨拶し返そうとしたら。

 奴の耳にこの前私があげたフェイクピアスが付けてあることに気付き、すぐさま呼び止めて注意した。


「なんでって、付けたいから?」


 鬼の形相で迫る私に臆することなく、首の後ろに手を添えてケロリと言う清瀬。

 全く反省する素振りのない態度にカチンときた私は、「アナタねぇっ」と更に目を吊り上げて詰め寄り、くどくど説教し始めた。


「毎日毎日、何度言ったらその乱れた服装を直してくるの? ただでさえアナタはほかの生徒より目立つ存在で――って、人の話を聞いてるの!?」

「いんちょー、朝からうるさい」

「なっ」


 両手で耳を覆って聞こえないフリする清瀬に、ブチッと青筋が立ち、怒鳴り散らしてやろうとしたその時。


「はは。相変わらず二人は仲が良いなぁ」

「亘く……じゃなくて、平井先生!?」


 たまたま近くを通りかかった亘くんに「おはよう」と挨拶されて、急いで姿勢を正す。

 背筋を真っ直ぐ伸ばして直角にお辞儀しながら「平井先生、おはようございます」と挨拶を返すと、亘くんが優しい笑顔を向けてくれてキュンとなった。