「ちょうどよかったって言ったらなんだけど、西田に話があるんだけどいいかな?」

「話ですか?」
 
「そう。ちょっとこっち来てくれる?」

「はい」


 コクンと頷き、亘くんのうしろについていこうとしたら。

 ――グイッ。


「話ってなに? ここじゃ言えないよーなこと?」


 何故か、清瀬が私の腕を掴んできて。

 面白くなさそうな顔で亘くんを睨みながら私を自分の方へ引き寄せてきた。


「ちょっ、清瀬ってばいきなり何言って……っ」

「大した内容じゃないならここで言えばいーじゃん。俺だけハブく必要なくない?」


 清瀬の手を振り払おうとするも、手首をガッチリ掴まれていて離れない。

 亘くんは少し困ったように笑うと、


「一応、個人情報に関する内容だから、二人きりにしてもらってもいいかな?」


 と大人らしく落ち着いた対応で清瀬を納得させて黙らせた。


「……わかった」


 はぁ、とつまらなさそうにため息をついて、スタスタ歩き出す清瀬。

 心なしか不機嫌そうに見えるのは気のせいかしら……?


「それで話ってなに? 亘く――ゴホンッ、平井先生」

「うん、そのことについてなんだけど……この中で話そうか」


 家庭科室のドアを開けて中に誰もいないことを確認してから、亘くんが私にヒソッと耳打ちしてくる。