政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
2.言えないことだらけ






妊娠発覚から一か月後。私は妊娠二か月になっていた。
チャックではなくリボンで締めるタイプのワンピースを着て、料亭に集まりに参加している。

いつもの両家六人で御膳を囲む。

「夏樹、桃香ちゃん、おめでとう! 孫の誕生ってこんなにうれしいものなのね」

夏樹から私の妊娠を報告すると、おばさまは両手を合わせて喜んでいる。

「母さん、まだ誕生じゃないから。不安定な時期だからあまり騒がないでくれよ」

どこで勉強したのか、夏樹は私が思っていたことを先におばさまに注意した。うちの母もそうだが、おばさまたちは自分も妊娠していたことがあるのにいろいろと忘れていることがある。

「生モノは食べない方がいいんだっけね」

私の母が隣から手を出し、私の御膳のお刺身の皿を野菜の天ぷらと交換した。二倍になった天ぷらに、私はゴクリと喉を鳴らす。

「それにしても桃香ちゃん。見た感じ、なんだかすごく元気なのね。つわりとかはないの?」

「あ、はい……」

「そうなんだよ。桃香、つわりにならないみたいでさ」

なぜか夏樹がうれしそうに答えた。
最初はいろいろと心配してくれていたものだが、一か月経っても食欲が衰えずおう吐する様子もない私に、最近は安心しきっている。
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