綾取る僕ら
退屈な授業
2コマの授業は、去年単位落とした仁さんといつも一緒に受けてる。

「これってテスト持ち込み可だよね?」
「俺に聞かないでくださいよ」

仁さんはヘラヘラしながら「ごめん、なんか紙ちょうだい」と言ってきた。
ルーズリーフを一枚渡す。

「あと、何でもいいからペン貸して」
「ちゃんとノート取るんですか」
「やってるフリ?」

そう言って笑う。

「テスト前、ノート貸してね」

仁さんは悪びれる様子もなく言ってきた。

俺からするとかなりずるい。
なんでまともに授業受けない人間にノート貸さなきゃいけないんだ。

「じゃあ、昨日、何してたのか教えてください」

黒いボールペンを1本渡しながら聞いた。
一瞬、仁さんは俺の目を覗く。

「綾香のこと好きなの?」

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