イジメ返し―連鎖する復讐―
咲綾side
【咲綾side】

「咲綾先輩、これ折原先生の奥さんからです」

エマの画面には先生の奥さんからの感謝のメッセージが届いていた。

【主人と別れ、私も亜子も今は幸せでいっぱいです。
この選択をするきっかけをつくり、背中を押してくれたエマさんと咲綾さんには感謝しかありません。
これからは亜子の幸せの為に育児も家事も仕事も頑張ります。
本当にありがとうございました。】

「イジメ返し……成功してよかった……」

あたしはホッと胸を撫で下ろした。

今回のイジメ返しは先生の奥さんを巻き込んでの大掛かりなものだった。

『折原先生は教え子に手を出す最低の教師です。二度と教師として教壇に立てないように社会的に抹殺しましょう』

エマは先生の奥さんと交流を持ちそれをキッカケに折原先生へのイジメ返しの協力を頼んだ。

『奥さんが裏切ったらどうするの?そんなリスクの高いことしないほうがいいよ!』

と私は反対したものの、エマは笑顔で『それはありません。エマたちと奥さんの利害は一致しています』と自信ありげに微笑んだ。

その後、あたしはエマに連れられて一度だけ奥さんと会った。

目の下をくぼませ生気のない青白い表情を浮かべたガリガリに痩せた女性は、今にも泣きそうな顔で『あの人と別れられるなら何でもします。このままじゃ私が私でいられなくなる』と声を出さずに涙を流した。

先生の奥さんはボロボロで今にも壊れてしまいそうなほど弱っていた。

青白い顔の一部には痛々しいほどのあざができている。

先生が奥さんに対して家庭内暴力とモラハラを繰り返しているのは一目瞭然だった。

『大丈夫です。やられらたらやり返しましょう。エマたちのイジメ返しに協力してもらえますよね?』

『もちろんです。私にできることならなんでもします……!』

『ありがとうございます。これから確実に離婚できる証拠を集めましょう。戦うなら武器は多い方がいいですから』

エマの言葉に奥さんの曇った目に光が灯ったような気がした。
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