🩸狂い切ったヴァンパイア🩸

彼氏

「はぁ、はぁ……」

息切れちゃったっ……。

「あ、おはよーひゆちゃん」

「あ、蒼葉くん」

伊佐美蒼葉(イセミアオバ)くん、おんなじクラスで、みんなにモテモテな存在だ。

だけと、最近、よく私に話しかけてくれる。

「おはよう……」

「どうしたの?元気ないし、息切れしてるよ?」

「あっ……実は……相談しても、いいかな」

「ふふっ、いいよ。うれしい」

そう言ってくれた蒼葉くんのお言葉に甘えさせてもらい、全てのことを話す。

「へー、つまりは、その後輩をどう回避するか、的な?」

「ま、まぁ、そう、なの、かな?」

ちゃ、ちゃんと伝わってるか不安っ……。

「……やっぱり、私は、れーちゃんのこと好きじゃないし、やめた方がいいんだと思うんだ」

「ははっ、吸血鬼だしね」

「?どう、いう、こと?」

「ううん、あ、じゃあ俺が彼氏役してあげようか?」

「へっ?」

ど、どういうことだろう。

「だーから、俺が彼氏役して、私には彼氏がいるから無理って断ればいいでしょ」

「あー!そういうことねっ……!で、でも、いいの?」

相談乗ってくれた上に、そんなことまではさすがに悪いよね。

「いいよ別に〜暇だし」

「ありがとうっ」

「あ、でも」

?、なんだろう?

「代わりに、連絡先交換してくれない?」

「えっ、あ、そんなことかぁ、いいよ」

そう言って、蒼葉くんと連絡先を交換した。

「いーい?実行するのは放課後、一緒に帰えろう?そしたら、きっとくるから、その、後輩」

「わ、わかった!」

そう言ってコクコクと頷いた。



放課後になり、蒼葉くんと共に家に帰る。

「ひ〜ゆ〜」

「っ!あ、蒼葉くんっ……」

れ、れーくんだ……。

「大丈夫、こんにちは」

そう言って優しい声で私を落ち着かせてくれた蒼葉くん。

「先輩誰ですか?」

「俺はひゆの彼氏の伊佐美蒼葉です、よろしく」

「え?彼氏……?浮気してたの、ひゆ」

「な、なんでそうなるの!」

わ、私いつのまにれーちゃんと、いや、玲くんと付き合ってたの!?

「俺の彼女なんですけど、浮気なんてしてないし」

「んー……でも、僕達婚約してるからなぁ。あ、じゃあ仕方ない」

そう言って不敵な笑みを浮かべた玲くん。

「伊佐美蒼葉、お前は本当にひゆの彼氏なのか?」

「……俺は彼氏ではありません、玲様どうぞひゆを」

「蒼葉くん!?」

ど、どうして……?

青葉くんはなにかに取り憑かれたかのように、急にそんなことを言い出す。

「じゃあ僕たち婚約するよね、ってかしてるもんね」

「や、やだっ……!ちがう……!してない……!あ、蒼葉くんになにしたの……?」

どんどんと恐怖が生まれて、ぷるぷる足がすくむ。

「ふふっ、言ったじゃん、上級吸血鬼なら洗脳することぐらいできるって」

「そ、そんなっ……!」

「安心して、ひゆのことは洗脳しない」

「え、えっと……」

へ、返事に困るっ……!

「ひゆを洗脳して、自分のことを好きにならせても、あんまり……嬉しくないんだよね」

切なく笑う玲くんに、胸が痛む。

な、なんでそんなっ……。

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