【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

5話 あこがれの王子論議

「誰かが困っていたら迷わずに声をかける……さりげなくエスコートしてくれる……賞賛されなくても気分を悪くしない……」

 朝食を取り終えたマリアは、書斎の書き物机にノートを広げて、理想の恋人の条件を書き連ねていた。自分がほんとうに望む相手を、自ら知るために。

「金髪で……目鼻立ちがはっきりしていて……感情豊かで……はきはきとしゃべって……身長はわたくしより十五センチ高い……。だめだわ。これではまるで、アルフレッド様よ」

 薔薇庭園の一件で、アルフレッドへの未練をたってから七日が経った。
 初めのうちは、心にぽっかりと大穴が空いたような心地でいたが、今では吹きすさぶ風さえ爽快に感じられる。
 これまで味わったことのない自由をマリアは手に入れたのだ。

 しがらみから放たれて、一番に思ったのは『恋がしたい』だった。

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