むすんで、ひらいて、恋をして
すると、莉生が私の髪に、そっと触れて……。



「うぎゃっ!」



またまた飛び跳ねる。



「落ち着きがない奴だな……。髪、濡れてるじゃん。乾かさないと風邪ひくぞ」



「だって、ドライヤー使うと熱いんだもん。汗かいちゃうの嫌だもん」



つまずいたせいで、変な汗かいちゃったし!



心臓がバクバクして破裂しそうだし!



「長風呂しすぎなんだよ」



「いいでしょ、くつろぎタイムなんだから! 莉生こそ、上半身裸で歩くのやめて!」



「はいはい」



面倒くさそうに返事をした莉生が、スポッと頭からシャツをかぶって、洗い立ての新しいタオルを手にやってくる。



「ほら、アリス、こい」



タオルを手に、莉生が私を呼ぶ。



「?」



「髪、乾かしてやるよ」



「へ?」



「突き指したとき、俺の髪を乾かしてくれたお礼」



きょとんとしている間に、ぱさっと頭にタオルがのせられた。



逃げ出す間もなく、ごしごしと莉生がタオルで私の頭を乾かしはじめた。



抵抗しようとしたものの……。



あ、ちょっと懐かしい……。



その手のひらの感触に、ホッと息をつく。



閉じたまぶたをゆっくりと開くと、莉生の顔がすぐ目の前に迫る。その黒い瞳を、ぼーっと見つめる。



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