7歳の侯爵夫人
ダレルは心の底から、この不器用で優しい主人に幸せになって欲しいと思っている。
だから、今の幸せそうな主人を見るのは心底嬉しい。
こんなことを願っては叱られるだろうが、出来ればコンスタンスがこのままでいて欲しいと願う程に。

「コニーが本当に可愛い過ぎて困る。可愛い過ぎて、身がもたない」
「じゃあ手を出しちゃったらどうだ?」

幸せにはなって欲しいが…、未だ悶絶する主人に、ダレルは少々バカらしくなってきて、ちょっと意地悪したくなった。

「出来るかバカ!」
オレリアンは顔を上げ、真っ赤になって反論する。

「中身は子供でも体は大人だろ?出しちゃえ、出しちゃえ」
「冗談じゃない。彼女に怖がられたり、嫌われたりしたくない。…大事にしたいんだ」
ぶんぶんと首を横に振る主人を尻目に、ダレルは呆れたような目を向けたまま、執務室を出た。

今日の報告はある程度終わったし、どうせオレリアンの頭はもうこの後の予定に飛んでいて使い物にならないだろう。
この後可愛い妻と、デートに行くらしいから。
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