7歳の侯爵夫人
「王女は…、そんなに傲慢な女性ではない。たしかに私を見染めてはくれたが、縁談を無理矢理ねじ込んできたのは王女の父親である国王だ。彼女は私に婚約者がいたことも知らず、申し訳ないことをしたと言っている。その上で、元婚約者を側妃に迎えることも承知しているのだ」
「そんなこと…、王女様が許したとしても隣国の国王が許しますか?」
「側妃の件はしばらくは公表せず、正妃に子を授かったら公にしようと思う。それまでコニー…、ルーデル公爵令嬢には、王妃の侍女として王宮の奥に住んでもらい、公の場には出さないつもりだ」

怒りで我を忘れるとはこのことだろうか。
オレリアンは今、はらわたが煮えくりかえる程の憤りに包まれていた。
この王太子は、一体何を、つらつらと述べているのか。
何を勝手なことばかり言っているのだろうか。

「…なんですか、それは」
手が、唇が、ブルブルと震える。
「コニーを陽の当たらない場所に押し込める気ですか」
「貴様、不敬であろう」
「待て、いいのだ。だがそれを言うなら…、現在彼女を陽の当たらない場所に押し込めているのは、ヒース侯爵、そなたではないのか?」
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