7歳の侯爵夫人
しかしそんなフィリップの考えを180度変える事件が起きる。
1年もヒース領で放置されていたコンスタンスが王都に戻ったその日、ヒース侯爵邸前で事故に遭ったというのだ。

フィリップはすぐさま宰相の嫡男で側近であるノルドに命じ、噂の真偽を確かめさせた。
そして、噂がほぼ事実であったことを知る。
激怒し、自分に出来ることはないかと模索していた最中、コンスタンスは実家であるルーデル公爵邸に引き取られた。
このまま離縁かと安堵していたのも束の間、やがてヒース侯爵はコンスタンスを連れて侯爵領へ旅立った。

騎士団への報告は、妻が事故で負った傷の療養のためなどと称していたらしいが、今までの状況を鑑みて、あの男がコンスタンスを労わるとは思えなかった。
おそらく醜聞が下火になるまでまた妻を自領に閉じ込めるつもりなのであろう。

そしてそのうちに、ルーデル公爵を通じて、ヒース侯爵と義母との絶縁状にサインして欲しいと申し入れがあった。
『コンスタンスの平穏な生活のために』と言われ仕方なくサインしてやったが、それだって、義母との関係が面倒になったヒース侯爵の自分勝手な頼みなのだろう。
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