7歳の侯爵夫人
そうして、王太子の成婚の日がやってきた。

あの夜中に突然現れた日以来、王太子がオレリアンに接触してくることはない。
自分の結婚準備などで忙しいのもあるだろうが、幼女のようになってしまった元婚約者をどう扱ったらいいのか戸惑っているのもあるだろう。

視察について行ったり夜会の警護に当たったりと任務中のオレリアンと顔を合わせることもあるが、王太子は一瞥するだけで、特に声をかけてくることもなかった。
このまま側妃の件は立ち消えになってくれればいいと、オレリアンは願っている。

成婚式が終わり、パレードが始まった。
オレリアンたち近衛騎士は、皆ロイヤルブルーの騎士服に身を包み、馬に跨ってパレードを先導していた。
その凛々しい姿に、沿道の多勢の乙女たちも、キャアキャアと声を上げている。

そしてコンスタンスもまた。

「お母様!パレードが見えて来たわ!」
と叫び声を上げた。
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