7歳の侯爵夫人
両親、そして兄エリアスは、コンスタンスに丁寧に今までの経緯を説明した。

フィリップが表敬訪問の際に隣国の王女から一目惚れされ、縁談が持ち込まれたこと。
国内の貴族を二分して論争があったが、結局は王家は隣国の縁談を受け、ルーデル公爵家は身を引き婚約が解消されたこと。
その後王妃の斡旋で、コンスタンスはヒース侯爵オレリアンに嫁ぐことになったこと。
その後コンスタンスはヒース侯爵領へ、オレリアンは王都の侯爵邸に住み、1年近く別居状態が続いていたこと。

そこまで淡々と説明して、公爵は言葉を切った。
コンスタンスは青ざめ、涙をこぼし、母に支えられて座っているのがやっとなほど憔悴しきっていた。

「…今日は…、ここまででやめるか?」
しかしコンスタンスは首を横に振った。

「いいえ…、私は大丈夫ですから、続けてください」

正直、俄かには信じられない話ばかりだった。
昨日まで愛を育んできたはずのフィリップと婚約を解消して、他の男に嫁いでいるなんて。

でも、父がこういう類の冗談を言うような人間ではないことも、コンスタンスはよく知っている。
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