7歳の侯爵夫人

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父の話は長く、たくさんわからない言葉もあったので、コンスタンスは欠伸を堪えながら聞かなくてはならなかった。
いきなり「おまえは本当は7歳じゃなくて19歳だ」と言われても、到底受け入れられるものではない。

目覚める前日、コンスタンスは王太子フィリップ殿下の婚約者になったはずだった。
ところが今、自分は王太子妃ではないという。
父の話は当然そこから始まる。

王太子フィリップとの婚約の話は、王家の方から持ち込まれたものである。
筆頭公爵家であり常に王家を支えるルーデル家にとっては栄誉なことであり、ある程度予想もついていたことであった。
フィリップ殿下の母である王妃とコンスタンスの母である公爵夫人が親友同士というのもこの縁談に大きく作用しただろう。
当然、断るという選択肢はない。
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