7歳の侯爵夫人
翌日は非番だということで、オレリアンは昼間に公爵邸を訪ねてきた。
コンスタンスは邸に上がるよう誘ったが、オレリアンが庭を見たいと言ったため、2人で庭を散歩することになった。
庭の花壇には様々な花が咲き乱れ、オレリアンは少し恥ずかしそうに口を開いた。

「私が贈らなくても…、色々な花があるのですね。何か、余計なことをしていたようだ」
「とんでもございませんわ。侯爵様の真心が込められたお花に、私は毎日癒されておりました。でもこれからは、こうしてお話をして、少しでも貴方のことを知っていきたいと思います」
「ええ。知られて嫌われないよう、頑張りますね」
「まぁ、それは私の方ですわ」
「貴女を嫌うなどありえません。私はこうして毎日貴女に会えるだけで夢のようなのですから」

柔らかな微笑みを見せるオレリアンに、コンスタンスは少々戸惑ってしまう。
直接言葉を交わすようになったオレリアンは、こうして普通に甘い言葉を吐く。
とても素直で正直な人なのだと思うが、彼と夫婦だった頃を知らないコンスタンスにとっては、むずがゆく、面映ゆい感じがするのだ。

一方オレリアンも、「こんな歯も浮くような台詞を口にしているのをダレルが見たら大笑いするだろうな」と苦笑した。
本当は、それほど口が上手い人間ではないのだから。
だが、少しずつ、少しずつではあっても、こうして言葉を交わし、微笑み合い、打ち解けていけたらと思う。
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