7歳の侯爵夫人
コンスタンスはあまりの驚きに、目を見開いた。
公式寵姫…、いわゆる、側妃でもない公の愛人である。
側妃と言われただけでも屈辱だったのに、よりによって慕っていた王妃にそんなことを言われるなんて。

「それは…、フィリップ殿下も同じお考えなのですか?」
「いいえ、フィリップは相変わらず貴女を側妃にと言っているわ。でも隣国の手前、新婚早々側妃を置くのはまずいでしょう?貴女とヒース侯爵との結婚だって王室主導で進めたのに、あっという間に離縁とはさすがにねぇ」
「お言葉ですが王妃様。私は王妃様の気持ちにお応え出来ませんわ」
「そう言わないで考えてみてコンスタンス。貴女にとっても決して悪い話ではなくてよ。身分が正妃ではないだけで、やがて国王になるフィリップが一番に想うのは貴女であって、要するに国最高のレディは貴女なのだから。私だって貴女のことは本当の娘のように思っていたのよ?だから貴女がそばにいてくれたら私も嬉しいわ。だって隣国の王女なのだけどね、大国から来たせいか気位ばかり高くてね、私のことも見下したような目で見るのよ?フィリップに一目惚れしただなんて言っていたけど、それだってどうかしら。あんな妃では、フィリップだって心が休まらないでしょう。ねぇお願いコンスタンス。フィリップを支えてあげて欲しいの。やはりずっと婚約者として側にいた貴女が気心も知れて、フィリップを癒してあげられるわ」

勝手なことばかりをつらつらと述べる王妃に、コンスタンスは薄ら寒いものを感じた。
未来の義母とも慕った女性が、こんな勝手な女性だったなんて。
< 271 / 342 >

この作品をシェア

pagetop