7歳の侯爵夫人
(ダメだ、もう帰ろう)
話は終わっていないが、コンスタンスは立ち上がろうとした。
王妃に対して不敬かもしれないし、この後ルーデル公爵家やヒース侯爵家に何かしらお咎めがあるかもしれない。
でも、両親も兄も、そして夫オレリアンも、きっとコンスタンスが受け入れてしまうことの方に怒り、悲しむであろう。

「もう失礼致します、王妃様」
そう言って立ち上がろうとしたコンスタンスは、しかしグラリと傾いて、再びソファに沈んだ。
手にも、足にも、力が入らないのだ。

「……私……?」
必死に体を動かそうとするが、体が動かない。
しかも何やら体中火照ってきて、動悸がする。

王妃はそんなコンスタンスを見ながら、優雅に立ち上がった。
そして見下ろすと、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。

「やっと薬が効いてきたようね」
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