7歳の侯爵夫人
その頃、ルーデル公爵夫人とエリアスは苛立っていた。
コンスタンスが王妃と共に後宮の奥に消えたまま、いつまで待っても戻って来ないからだ。
何度か侍女をつかまえて問いただしたのだが、
「お話が弾んでおりますので」
などとばかり答える。
今さら息子の元婚約者と、何の話で盛り上がるというのだろうか。

オレリアンもまた、後宮の入り口で苛立ちを隠せないでいた。
先程王太子が戻ってきてからも、だいぶ時間が経っている。
お茶会などすぐに終わるものと思っていたが、そんなに時間がかかるものだろうか。
だが、後宮の入り口には警備兵が配されているため、迂闊に足を踏み入れることも、中の様子を伺うことも出来ない。

「…コニー…」
相手は王妃であるし、母や兄、そして夫である自分が待つこの場でコンスタンスが何かされるとは思えないが、オレリアンは言いようのない不安を抱え、妻の名を呟いた。
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