7歳の侯爵夫人
後日談であるが、病気療養を理由に離宮に送られた王妃は、それ以降公式の場に姿を見せることはなかった。
そして、王妃が離宮に去って以来めっきり女性関係が大人しくなった国王は、間も無く体調を崩した。
王妃を全く顧みなかったことに、少しは良心が咎めたのだろうか。
病床で、王妃の名を呼んでいたと言う。
しかし王妃は国王の見舞いを拒み、2人が会うことは二度となかったという。
国王は結局回復することなく、その数ヶ月後に崩御したからである。
その後即位したフィリップが母を王宮に呼び戻そうとしたが、彼女はそれも拒んだ。
そして離宮に軟禁状態のまま、その生涯を終えたのである。

また国王となったフィリップは、両親の愛憎、母が引き起こした事件、そしてもしかしたら自らも加害者になり得た事件に深く反省した。
あの時、フィリップにはコンスタンスをどうにかしようなどという考えは元々なかった。
だがコンスタンスは夫に操を立てるために自らを害し、オレリアンは妻を守るために王家にも楯突く勢いだった。
それを見て、悟った。
母だけが加害者なのではない。
傲慢で、独善的な自分も加害者だったのだと。

その後フィリップがコンスタンスに言い寄るようなことは、二度となかった。
そればかりか、正妃1人を大切にし、仲睦まじい国王夫妻として、国民に周知されるようになるのである。
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