7歳の侯爵夫人

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そうしてコンスタンスをヒース領に置き去りにしたまま、あっという間に1年近くが過ぎていた。
領地の方はジェドが滞りなく治めてくれているようで、最近ではコンスタンスが相談に乗ってくれたり意見を出してくれたりもするのだと言う。
彼女はあらゆる教育を受けた優秀な人間であるから、的確な助言を与えてくれるのであろう。
領地内を散策したりもしているらしいし、使用人たちともそれなりに信頼関係を築いているのかもしれない。
俺としては、傷ついた彼女が田舎のゆったりとした暮らしに癒されてくれればいいと思う。

それでも、たまには顔を出すようにとジェドからもマテオからも再三言われている。
それに、彼女が王都から離れることには賛成したルーデル公爵家も、俺が領地に赴かずコンスタンスを放置していることに、かなり怒っているようだ。
まぁ、実家としては当然の思いだろう。

俺とて決して妻の存在を忘れているわけではないのだが、騎士団の方も忙しく、なかなかまとまった休みが取れない。
それに、彼女だって俺と一緒にいるのは嫌なのではないか?
もちろんあの完璧なお姫様は顔に出したりはしないだろうが。
…と、言い訳にもならないことを考えてみる。

まぁ、そろそろ彼女だって、田舎の暮らしに飽きてきている頃かもしれない。
いい加減、訪ねてみるべき頃合いかもしれない。
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