7歳の侯爵夫人
「なんだ、これは…」
俺は手紙をぐしゃりと握りつぶし、頭を抱えた。

これは、かつての恋人セリーヌが俺宛に綴った手紙。
しかも、書かれたのは極最近のことだろう。

そして義母が、それをコンスタンス宛に送ってきたものだ。
要するに、義母はコンスタンスから俺への手紙を捨てさせていただけでなく、セリーヌが送ってきた俺への手紙も盗ませていたのだ。
こうして嫌がらせをするために。

封筒の消印は4日前。
俺たちが義母の企みに気づいた日だ。
おそらくあの日、義母はマテオたちの来訪を知り、追求される前に手紙を送ったのだろう。

それから、セリーヌだ。
俺を捨てて裕福な子爵家に嫁いだくせに、今更なんだと言うのだろう。
夫がいながらこんな恋文のようなものを書くなど、まさか、こんな愚かな女だとは思わなかった。
まんまと、義母の悪巧みに利用されてしまったではないか。
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