未来の種ーafter storyー
同僚、公親の拗らせた初恋
「おっ! 小学部の王子様じゃないか。」

「公親(きみちか)……」

面倒な奴に会ってしまった。

「今帰りか?」

「…ああ。」

「美衣子は家か? 土曜日は幼稚園休みだよな?」

「ああ。今日は検診に行ってる。」

美衣子は妊娠がわかってから、つわりが酷かった。

そのため担任を1人で持つのは難しいと幼稚園側から判断され、1人担任から2人担任に変更された。

と言っても、緊急事態宣言明けの幼稚園再開直前の事だったので、2人担任への変更はとてもスムーズに受け入れられた。

そしてもう1人の担任は叔母の愛先生だった。ちょうど俺が小学部の音楽教師になった事で、臨時に音楽教師を引き受けていた愛先生が空いたため、幼稚園に戻り、美衣子と一緒に年中児の担任を引き受けてくれたのだ。

夫婦揃って叔母には頭が上がらない状態だ。

しかし叔母は

「小学校の方は気が重かったけど、幼稚園なら全く問題ないわよ。慣れてるからね。優が帰って来てくれてホント助かったわ。」

と言ってくれた。有り難いことだ。
俺達は皆んなに支えられている。

そういう訳で、美衣子はつわりが酷い期間は休ませてもらったりしながら、無理をせず勤務に就かせてもらっている。

< 24 / 95 >

この作品をシェア

pagetop