もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
『今まで番の加護で守られていたが、これからはそれがなくなる。動物に避けられなくなるが……。これを』
そう言って首にサファイアのネックレスを掛けられた。
『俺の代わりに、このブルーサファイアがマリーを守ってくれる。肌身離さず身につけていてほしい』
名残惜しいために揺れていると勘違いしそうになる王子の瞳を直視しないようにして、明るく振る舞って城を後にした。
実際、壺を割った弁償はうやむやになった上に、宝石までいただいて、万々歳だわ。
『餞別の品になってしまったな』と、どこか寂しそうな声に聞こえたのは、身勝手に呼び寄せておいてすぐに解雇する流れになった申し訳なさからだろう。
「さっ。ここでも思う存分もふもふするぞ〜‼︎」
煩悩全開。気持ちも新たに、マリーは動物病院の扉を元気に開けた。