6.裏切りは許さない

「もう大丈夫でしょう」

 病院の先生はそう言って私の右腕のギブスを外してくれた。

これでもう不便な生活を送らなくていいと思うと嬉しくてたまらない。

診察室を出ると待合室で私を待っていてくれた秋山さんと朝飛が駆け寄ってくる。

「ママ、おてて治ったの?」

 ギブスの外れた私の右手を見て朝飛は恐る恐る触れてくる。

「うん、そうだよ。もう大丈夫だから通院しなくていいって」

「よかったですね、まひるさん!」

「ありがとうございます。秋山さんには大変お世話になってしまって……」

「いいんですよ。ユウヒさんの代わりですから! って、おこがましいですよね。すんません」

 申し訳なさそうに頭を下げる彼に向かって私は首を横に振る。

「そんなことないよ。いてくれて心強かった。感謝してる」

  雄飛に言われているからといって、日々のサポートと通院の送迎に朝飛の相手までするのは大変だったにちがいない。

「いやそんな、感謝だなんて。正直、現場にいるよりらくちんだし、お二人といて楽しかったです。あ、ユウヒさんには内緒ですよ」

 あわてて秋元さんは付け足した。

これは想像でしかないが、拘束時間の長い現場にいるよりも楽な部分があるのは事実だろう。

けれど、彼の本業を邪魔してしまったことには違いない。