7.Will you marry me
あの日から二週間がたった。
雄飛とは連絡が取れないままで、藁をもすがる思いで事務所へも行ってみたけれど門前払いされてしまった。
口座には雄飛からの振り込みがあるので完全に放置されているというわけではなさそうだけど……。
「いったいどうしろっていうのよ」
私のことを無視するのは百歩譲っていいとして、朝飛を悲しませるのだけは許せない。
「幸せにするって言ったのは嘘だったの?」
こんなことになるのなら店を手放さなければよかった。戻る場所さえあればまたあの日常を取り戻せたはずなのに。
静かな寝息を立てている朝飛の額にキスをして、私はリビングに戻った。
日中公園でたくさん遊んだおかげで、まだ十八時だというのにぐっすりだ。
「じゃあ、よろしくお願いします」
私は依頼したベビーシッターの女性に頭を下げる。
「多分、私が帰る前に起きてしまうと思うんですが……ぐずったら冷蔵庫にプリンを作ってありますのでそれをたべさせてください」
「はい、承知いたしました。いってらっしゃいませ」
私は急いでマンションを出ると、呼んでおいたタクシーに飛び乗った。