哀しみエンジン
告白



******



最初、不純な動機で入ったサークルも、今では楽しくて、俺にとっては憩いの場となっている。

充実した日々を送っていたら、いつの間にか清水さん達も最終学年の4年生となっていた。

清水さんと服部先輩が、サークルのトップとなった初めての会議で、俺と同学年の椿さんが花見の提案をする。

サークルのメンバー全員が賛成で、行けるメンバーで行くことになった。

とりあえず、飲み物や食べ物の買い出しには、新部長の服部先輩と椿さんが行くらしい。

また後輩の女子と2人きりになるなんて、清水さんの誤解を招くだけだろ。



「じゃ、じゃあ、私は先に現地に行って、場所取りしとくね」

「「え」」



ほら、言わんこっちゃない。

何が「え」だ。

清水さん、拗ねているじゃないか。

俺には分かる。



「気持ちは有り難いが、1人でわざわざ行かなくていい。みんなが揃ってからでもいいから」

「平気。まだ明るいし。そんな心配される年でもないよ。知らない人にはついて行きませんので、ご心配なく」

「俺が言いたいのは、そういう事じゃなくて――」



結局、空気の読めない先輩は、清水さんを買い出しに誘うことはなく、ほったらかしにする。

何故、そこまで頑なに誘わないのか。

何を勘違いしているのか知らないが、服部先輩だって、清水さんが好きなくせに。

2人は、両想いなくせに。

いっそのこと、付き合ってくれた方が吹っ切れるかもしれないのに。

だんだん腹が立ってきた。

それなら、俺が先を越して、上手くいったら自慢してやる。


< 37 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop