LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
その人だかりを割り込むように、
私はその人と人の間を縫うように進んで行く。



目に入ったのは、
白い雪を赤く染めて行く血…。




「飛び降りかな?」



「ほら?あっこの窓開いてるから、
あそこから飛んだんじゃない?」


周りの人達が、そう話しているのが聞こえて来た。



「――成瀬さん…」



足から力が抜けて、私はその場に座り込んでしまった。


私の目の前には、さっきまで話していた成瀬が、
うつ伏せに倒れていて。


顔はこちらを向いているが、その目は眠っているように、閉じている。



成瀬の頭からは、沢山の血が出ていて、
成瀬の周りの雪が真っ赤で…。



新たに降り積もる雪も、すぐに赤く変わって行く。


遠くから、救急車のサイレンが聞こえた。

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