そして、また3月3日がやって来た。


私にとっては一緒に迎えるのは3度目で、成瀬の27歳の誕生日。



この日の朝、成瀬は退院をした。



私が病院に迎えに行った時には、
もう成瀬は退院の手続きを終わらせていて。


「荷物は、朝一でなっちゃんが取りに来てくれたから」


「そうなんですね」



成瀬と二人で、病院から出てその敷地内の舗装された歩道を歩く。


私の横を歩く成瀬は、松葉杖で、
両手足の唯一左足だけが骨折を免れていたけど、
その代わりに右足が折れていて。


手や肩の骨折がほぼ引っ付いた今でも、
その右足だけはまだまだ自由にならないみたい。



「退院して本当に大丈夫なんですか?」


そのギブスをした足を見ていて思う。



「ああ。
暫く生活は不便だけど、これからはなっちゃん達と暮らすし。
風呂も自分でなんとか入れるから」


成瀬は、あのマンションの部屋を引き払い、
なっちゃん達の元で暮らし始めるみたい。


今の成瀬は多額の借金を背負い、
これから、車等を売り、自己破産の手続きを取る予定らしい。


何もかも失くした成瀬だけど、
憑き物が落ちたみたい、その顔はスッキリとしている。