LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
もう二度と乗る事はないと思っていた、成瀬のアルファロメオ。


私が新しい篤との新居の場所を伝えると、
車内は沈黙が流れる。


もうすぐ家に着く時に、私から口を開いた。


「私、篤と別れてナツキの所に戻ろうと思っています」


ナツキはもう大丈夫だと言っていたけど、
そうは見えなかった。


そして、そんな姿は、またいつか同じ事をするのでは?と、
私に強い不安を残した。


今回、ナツキは助かったけども、
次は…。


「そうか…」


そう答える成瀬は、きっとそうなる事を分かっていただろう。


そして、成瀬も私と同じように、ナツキに死んで欲しくないと思っている事が分かる。


「けど…。
俺がそうなるように仕向けてあれだけど、
篤と別れていいのか?
お前、本当に篤の事好きなんだろう?」


「好きですよ…。
本当は、別れたくなんてない。
ずっと篤と一緒に居たい。

けど、ナツキが死んでしまう事の方が、私は辛いんです」


そう言葉にすると、ナツキの前で泣かないようにと耐えていた涙が、
溢れて来た。


ナツキに恋はしていなくても、
私にとってナツキはとても大切な人で。


久しぶりに会った今も、それは変わらなかった。



成瀬は泣いている私を気遣ってか、
道の端に車を停めてくれた。


篤の前では泣けないから、
私は思う存分泣いた。


もう涙が枯れるんじゃないかってくらい。

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