琥珀は必死だった━━━━

「ねぇ…椿姫は俺が嫌いなの…?」
「好きよ、誰よりも…」
「だったら、早く籍入れよ?
一緒に暮らそ?」

「だから、それはいつも説明してるでしょ?
お母様のお許しが出ないと無理よって…!」

琥珀は22年間生きてきて、これ程までに何かを欲しいと思った事がない。

琥珀の祖母、美容家・湯王 真知と言えば美容業界で知らない者はいない程の世界的な有名人で、その孫の琥珀は生まれた時から、欲しいものを欲しいままに手に入れてきた。
だからこそ、こんなことは初めてだった。
しかも琥珀は“王子”と呼ばれる程のルックスで、しかも御曹司。
しかもこの春、父親の化粧品会社に入社したばかりだ。今はまだ色んな課を研修の為回っているが、来年からは副社長に就任する予定だ。
地位も、名誉も、女も…手に入らないなんて、そんなことあり得ないのだ。

でも……
今、目の前にいるこの女性。
藤堂 椿姫をどうしても、自分だけのモノにできない。
狂おしい程愛しくて、何を失うことがあったとしても、手に入れたいこの女性。
確かに、椿姫とはもうとっくに婚約していて、ほぼ琥珀のモノなのだ。
だったら、いいんじゃないかと思う。
しかし琥珀は片時も放れたくないのだ。
その為には、早々に籍を入れ、もう誰にも文句言わせない状態にして、椿姫を囲ってしまいたいのだ。

「だったらせめて、同棲しよ?
一緒に住むことができるなら、もう少し入籍我慢できるよ?」
「だから!
お母様のお許しが出ないの!
もう、嫌!毎日こんな話ばかり…!
帰る!」
今日も貪るように椿姫を抱いた後、足の間に座らせ後ろから抱き締めていた、琥珀。
椿姫が琥珀から放れようともがく。