王子と姫の狂おしい愛
「うん…ごめんね……椿姫…」
その椿姫の小さな手を優しく握る、琥珀。
「琥珀…」
「わかったから、もう…泣かないで…?」
椿姫の目元にキスをする、琥珀。

「琥珀…名前……呼んで?
私の、名前…」
「椿姫…椿姫……好き…愛してるよ、椿姫…」
身体が熱くなる二人。
このまま…溶けてなくなってしまう程に………

椿姫を抱きながら、琥珀も涙が出そうに目が熱くなる。
好きすぎて…不安で……
「椿姫…お願いだから……どこにも行かないで…?」
琥珀の小さな呟き。
その呟きに、椿姫も涙がまた溢れてくる。

「琥珀……こは、く…もう…だめぇ……」
椿姫の意識が飛びそうになる。
「椿姫…?まだ、だよ…?
戻っておいで…?」
椿姫は必死に琥珀に抱きつくが、飛んでしまいそのままベットの上に腕がパタンと落ちた。

「椿姫?
また…無理させてしまった…」
琥珀は椿姫の前髪を払うように、優しく撫でた。
そして組み敷いたまま、しばらく椿姫を見つめていた。
身体中のキスマークを見て、思わず顔がほころんだ。
椿姫が琥珀のモノだと主張してるようで、嬉しかったのだ。

ピンポーン!
「ん?誰だ…?」
部屋の呼び鈴が鳴った。
「誰だ?」
「琥珀さん!椿姫は?
どうせ、貴方が閉じ込めてるんでしょ?
出して?」
「ゲッ…!ババァかよ……。
…………今、寝てるんで後から家までお送りします」
呟いた琥珀は、できる限り穏やかに彩姫子に話した。

「何言ってるの?早く出しなさい!椿姫!椿姫!」
彩姫子はかなり興奮したように、苛立っている。
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