「彩姫子さん、後は僕が安全にお送りしますので、任せてもらえますか?」

は━━━?
この声………寛二…!?

「あ…寛二さん!
早く椿姫を…!!」
「はい、落ち着いて下さい。大丈夫です。ちゃんとお送りしますから、今は……
それにここでは、あまり声をあらげると……」
「そうね……ごめんなさい…私ったら、つい…」
そこでやっと彩姫子は、執事に連れられて去っていった。

「で?
琥珀、早く椿姫を帰してあげて?
彩姫子さん、かなりご立腹だよ?」

ドア越しに話す、琥珀と寛二。

「寛二、ババァに取り入ったの?」
「は?そんなことしないよ?
昔から、椿姫は寛二さんにおまかせしたいって言ってくれてたからね!
やけに目の敵にしてるもんね。彩姫子さんって、琥珀のこと」
「俺が椿姫を奪おうとしてるからだろ…!?」
「うーん。たぶんそれだけじゃないよ?
なんか他に大きな理由がありそう。
まぁ…安心してよ?僕は椿姫を琥珀から、奪おうなんて思ってないから。
はっきり断られたしね!」
「ふーん。御愁傷様…」
「でも、周りは僕と椿姫を結婚させたいみたいだけどね!
僕から言えるのは、彩姫子さんを怒らせないようにしないと、椿姫は手に入らない!
あの人はある意味、一番の権力を持っているも同然なんだから」
寛二の言葉に重みがあり、琥珀も口をつぐんだ。

「わかってるよ……」

藤堂 彩姫子と言えば、知らない人はいない程の有名なモデルだった。
当時、誰もが彩姫子に憧れていて、それこそ彩姫子に手に入らないモノはなかった。