彩姫子は何も言わず、湯王の屋敷を去った。

玄関を出ると、運転手がドアを開けた。
「奥様、どうぞ」
荒々しく乗り込む、彩姫子。

「椿姫は?家に帰ってるの?」
「ただいま確認します」
すぐ運転手が確認し、彩姫子に告げた。
「いえ…まだのようです」

「はぁ?
寛二さんに連絡して?」
「はい、少々お待ち下さい!
━━━━━━。
奥様、繋がりました!」
スマホを彩姫子に渡す。

「もしもし、寛二さん?」
『はい』
「どうなってるの?椿姫は?」
『今、起きられて着替えてます。もうすぐホテルを出発しますよ』
「だったら、今から私が迎えに行くわ!そこにいて!」
『え?はい、わかりました』
通話を切った、彩姫子は運転手にホテルに戻るように伝えた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
彩姫子がホテルに着くと、ロビーに琥珀、椿姫、寛二がいた。
「椿姫!?」
彩姫子は力いっぱい椿姫を抱き締めた。

「お母様?」
「帰りましょ?帰ったら、大事な話があるの…」
「はい。
じゃあ…またね。琥珀、寛二くん」
小さく手を振り、彩姫子とロビーを後にする。

「彩姫子さん!」
「何?寛二さん」
「また、僕達を会わせてくれますよね?椿姫に」
「………」
「お母様?」
「行くわよ、椿姫」
椿姫を引っ張るように、去っていく。

「なんか…ババァの様子がおかしくね?」
「琥珀、明日会いに行こう。椿姫のとこに」
「あぁ…
でもよ、なんでそんなに協力してくれんの?」
「だから言ったろ?はっきり振られたって…それがかなり効いてるんだよ、今でも…
だからせめて、椿姫の力になりたいんだ。
琥珀の協力じゃなくて、椿姫の力になりたい!」