王子と姫の狂おしい愛
自宅に帰ってきた、彩姫子と椿姫。
「お母様、話って……?」
「待ってて。パパが帰って来てからね!」

そして、彩姫子の夫で椿姫の父親・藤堂 春樹が帰ってきた。
「椿姫、琥珀さんとの婚約解消しなさい!」

「…………え?」
「ほら、あなたからも言って?」
「彩姫子、俺はそれには納得できないと言ったろ?
椿姫を傷つけるだけだ!
椿姫、ママの話は気にするな!
パパがちゃんと、説得するから!」
「でも、どうして?
どうして…お母様は琥珀を嫌うの?」
椿姫が涙を溜めて、彩姫子に訴える。

「琥珀くんが、梨沙子ちゃんに似てるからだよ。
そうだろ?彩姫子」
「……あなたは黙ってて!」
「梨沙子ちゃんが、琢巳を奪ったと今でも思ってるのか?琢巳は最初から、梨沙子ちゃん一筋だったぞ!」
「黙っててって言ってるでしょ!?」
「椿姫…お願い…!ママを捨てないで?
椿姫は、傍にいてくれるでしょ?」
彩姫子が椿姫の横に座り、すがるように言った。

「もう、やめろ!?彩姫子!」
春樹が一喝する。
「お母様、ごめんなさい…私が愛してるのは、琥珀です。それは一生変わりません!」
「椿姫…!?ママは認めないわよ……」
「椿姫、ママはほっといていいぞ。あとはパパがなんとかするからな…!」

リビングを出た、椿姫。
スマホだけ握り締め、庭に出た。
無意識に琥珀に電話をかけた。
『椿姫?』
「琥珀…遅くにごめんね……寝てた?」
『ううん。椿姫は?』
「琥珀…会いたい…」
『え?椿姫…?』
「今から行ってもいい?」
『ダメだよ!』

「え……?どうして、そんなこと言うの?
会いたいの……!
琥珀は私に会いたくないの!?」
椿姫の涙はもう溢れて止まらなくなっていた。
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