王子と姫の狂おしい愛
「これで大丈夫ですよ。今お薬を塗ったので、傷が残ることもないと思います。
二階堂さんには僕からお伝えしておきます。
椿姫様、申し訳ありませんでした」
井高が丁寧に処置をして、包帯を巻いた。

「いえ…二階堂には私から伝えます。
こんな大袈裟にしなくても、大丈夫ですよ。
川下さんも、気にされないで下さいね!」
井高と川下に微笑んだ。

「本当に申し訳ありませんでした」
井高と川下はもう一度頭を下げ、部屋を後にした。

「椿姫…ほんと、大丈夫?
痛い?」
琥珀が自分が傷つけられたように、顔を歪ませている。
包帯の上から優しくさする。
「大袈裟よ。大怪我ってわけじゃないんだから!
大丈夫」
「椿姫は優しいね…!
他の令嬢なら、こんなことされたらキレて大変だろ?
椿姫だって散々、色んな奴見てきただろ?」
椿姫を抱き締め、頭を撫でながら言う。

「そうだけど……誰にでも失敗くらいあるし、それに私達がキスしてたから、動揺させちゃったでしょ?」
「あれくらいで動揺してたら、ここの使用人は勤まらないよ!」
「だからって…それに…川下さん、たぶん琥珀のこと……」
「ん?」
「ううん…。
…………キスは、二人きりの時がいい…」
「そう?
まぁ…確かにこんなエロい顔、誰にも見せなくないかな…?」
目線を合わせ、口唇をなぞりながら囁く。
また口唇が重なった。
すぐに深くなり、また何も考えられなくなる、椿姫。

「椿姫…夕食の前に、抱かせてね……
ずっと我慢してたんだから……」
琥珀は椿姫を抱き上げ、ベットに連れて行き組み敷いた。
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