王子と姫の狂おしい愛
その日の夜、いつもの21時半に二階堂が迎えに来て、自宅に帰った椿姫。
自分の部屋で“支配”をパソコン調べてみる。

支配とは━━━
ある者が自分の意志・命令で相手の行為やあり方を規定・束縛すること。

「怖い……」
思わず、椿姫は呟く。
琥珀との結婚を引き延ばしてるせいで、少しずつ琥珀の執着が強くなっているのは、椿姫も気づいていた。
だからこそ、できる限り琥珀の願いは聞いているつもりだ。
彩姫子もそうだが、壊れてしまいそうなのだ。

そこへ二階堂が、ハーブティを持ってくる。
「椿姫様、どうぞ?」
「ありがとう」
「どうかされました?」
「ううん、何も…」
「足、大丈夫ですか?お薬塗り直したいので、包帯取ってもいいですか?」
「うん」
優しく足を持ち上げ、手当てし直す二階堂。

「痛くないですか?」
「うん…大丈夫よ」
「………」
無言で傷口をさする、二階堂。
「二階堂?」
「こんなに綺麗で、真っ白な足に怪我をさせるなんて……
赦せませんね……」
「二階堂?どうし━━━━え……?」

二階堂が、椿姫の脛にキスをしていた。
「ずっと……あなたが傷つかないように守ってきたつもりです。
でも知らないところでこんな怪我をおってるなんて……俺が傍にいたら、こんな怪我させないのに……」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その頃の琥珀。

「今日は、本当に申し訳ありませんでした」
「もういいよ……その代わりもう…俺に関わるな!
相手が椿姫だからよかったが、普通ならすぐクビだ!」
「はい、そうですよね…でも…お願いします!
これからも、お世話させてください。琥珀様の傍にいたいんです」
「勝手にしろ…俺は椿姫以外の人間には、何の感情もわかない。お前等がいても、いなくても…椿姫にしか何の反応もしない」

それぞれの想いが、動き始めていた━━━━━
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