王子と姫の狂おしい愛
ベットに移動して、椿姫を組み敷く琥珀。
「椿姫…まだ外は明るいよ?」
「うん」
「いつもなら、夕食済ませてからって言うじゃん!」
「うん、琥珀は嫌?」
「ううん、むしろ嬉しいよ…?
椿姫と愛し合えるなんて、いつでも幸せ…!」

「だったら…いいでしょ?」
「うん…」
琥珀の綺麗な顔が近づき、口唇が重なる。
そして頬や首筋、鎖骨に口唇が移動する。
いつも琥珀は椿姫を抱く時、夢中に貪るように愛す。
なのに、口唇や手はとても優しく慈しむように動くのだ。
それが椿姫は心地よく、幸せな気持ちになる。

でも今日は、とても苦しかった。
このまま何もわからなくなりたかった。
琥珀を愛してることも、母親の寵愛も、自分が誰なのかさえも……
こんなに狂おしい想いをするくらいなら、何もわからなくなりたい……………

「琥珀…」
「ん…?」
「やっぱり…やめ、て…」
「やだ……」
「これ以上愛されたら、ほんとに放れられなくなる。
私達はまだ結婚できないんだから」
「は?なんで……そんなこと言うんだよ…!?」
琥珀は椿姫に向き直り言った。

「お母様のお許しがまだ出てないでしょ?
だいたい、琥珀の家に泊まるのにどうして嘘つく必要があるの?
そんなのおかしい。
私達は婚約者同士なのに……」
「だから、一緒にいる時はギリギリまで愛し合うんだよ!」
「琥珀…」
「俺にはまだ、彩姫子おばをちゃんと納得させるだけの力がない。
だから、今はギリギリまで言うことを聞いて耐えてる。でも、もう少しなんだ……
もう少しで、俺が副社長に就任できたら椿姫を迎えに行く。もう誰にも何も言わせないよ!」
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