言い様のない、嫉妬心に包まれる川下。
「やっぱり……椿姫様の方が、幸せですよ」
「え?」
「だって、こんなに愛されてる。
会えないって言ったって、毎日会ってるじゃないですか?遠距離でもないのに、それはワガママですよ」
椿姫の身体のキスマークを見ながら話す、川下。

「川下さん…」
「変わってほしいです」
「え?」
「変わって下さいよ!!
私だったら、家族や友達すべて縁を切って琥珀様の傍にいます。
琥珀様が愛してくれるなら、何もかも捨てられます。
琥珀様“だけ”を愛せます!」
「川下さん?」
「はぁはぁ…すみません……
あ…これ……」
「え?」
「このピアス私のです。ここにあったんだ…」
「え…?あ…お掃除かなんかで、落としたんですか?」
「えぇ…だって、毎日お世話してますから」
「………そうよね…」
「椿姫様は、どうして全てを捨てないのですか?
それ程…琥珀様を愛してないんじゃないですか?それなら、解放してあげてください。
琥珀様がかわいそうです」
川下はもう…止まらなくなっていた。
嫉妬心が膨らみ、弾けたように溢れていた。

「琥珀様がいなくても、椿姫様の周りにはたくさんの男性がいますよね?だったら、選び放題でしょ?
椿姫様はお綺麗だから、皆様喜んで受け入れてくれ━━━━」
パン━━━━!!!

「私が全てを捨てても、誰も幸せになれない」
川下の頬を平手打ちし、睨む椿姫。
ちょうどそこにドアを開けた琥珀と井高がいた。
「椿姫……?どうした…?」

「私だって全てを捨てて、琥珀のところに飛び込みたい。でも無理なの!
お母様は恐ろしい方だから、きっと色んな人を傷つける。
それに私がどれ程琥珀を愛しているかなんて、他人にわかるわけない!
言葉でなんて、表現できないんだから!」