王子と姫の狂おしい愛
決意
「彩姫子、もう…許してやったらどうだ?」
春樹が彩姫子に言った。
「どうして…?」
「お前だって、わかってるはずだ。
椿姫の想い、椿姫の覚悟も。
それに琥珀くん、今回も椿姫の為に一緒に飛び降りたんだぞ!」
「俺からもお願いしたい。
琥珀を信じてやってくれ。彩姫子」
琢巳も彩姫子に頭を下げた。

「何よ…私が悪いの?」
「そうじゃない!
椿姫の幸せを考えろと言ってるんだ」
「奥様、僕からもお願いします!
最近の椿姫様は、見てられない程辛そうです。
このままでは、琥珀様が壊れる。
でも自分のワガママ言ったら、今度奥様が壊れるって。
その板挟みで辛そうでした」
「お前は、自分のワガママで椿姫の幸せを壊すのか…?」
「それは……」

その時、看護師が待合室に入ってくる。
「失礼します。湯王様が目を覚まされました」
「よかった…!」
みんな安堵する。

「椿姫は?」
「藤堂様はまだ…」
「とにかく、琥珀くんとところへ行こう」
みんな揃って琥珀の病室に行くと、病室にいない。
「は?琥珀は?」
「え?どうして…?すぐ、探します!」
看護師もびっくりして、病室を出ていく。
でもすぐに戻ってきて、琥珀は椿姫の病室にいることを知らされた。

椿姫の病室に行くと、琥珀がベットの下に跪いて椿姫の手を握っていた。
その光景に、誰もが心をうたれた。
椿姫はその日、目を覚まさず三日間経っても目を覚まさなかった。
その間軽傷で済んだとはいえ、まだ寝てないといけないのに、琥珀は椿姫からけっして離れなかった。
< 44 / 46 >

この作品をシェア

pagetop