「彩姫子、もう…許してやったらどうだ?」
春樹が彩姫子に言った。
「どうして…?」
「お前だって、わかってるはずだ。
椿姫の想い、椿姫の覚悟も。
それに琥珀くん、今回も椿姫の為に一緒に飛び降りたんだぞ!」
「俺からもお願いしたい。
琥珀を信じてやってくれ。彩姫子」
琢巳も彩姫子に頭を下げた。

「何よ…私が悪いの?」
「そうじゃない!
椿姫の幸せを考えろと言ってるんだ」
「奥様、僕からもお願いします!
最近の椿姫様は、見てられない程辛そうです。
このままでは、琥珀様が壊れる。
でも自分のワガママ言ったら、今度奥様が壊れるって。
その板挟みで辛そうでした」
「お前は、自分のワガママで椿姫の幸せを壊すのか…?」
「それは……」

その時、看護師が待合室に入ってくる。
「失礼します。湯王様が目を覚まされました」
「よかった…!」
みんな安堵する。

「椿姫は?」
「藤堂様はまだ…」
「とにかく、琥珀くんとところへ行こう」
みんな揃って琥珀の病室に行くと、病室にいない。
「は?琥珀は?」
「え?どうして…?すぐ、探します!」
看護師もびっくりして、病室を出ていく。
でもすぐに戻ってきて、琥珀は椿姫の病室にいることを知らされた。

椿姫の病室に行くと、琥珀がベットの下に跪いて椿姫の手を握っていた。
その光景に、誰もが心をうたれた。
椿姫はその日、目を覚まさず三日間経っても目を覚まさなかった。
その間軽傷で済んだとはいえ、まだ寝てないといけないのに、琥珀は椿姫からけっして離れなかった。