王子と姫の狂おしい愛
「琥珀、みんなで交代で傍にいるから、お前も手を骨折してるし病室に戻れ」
琢巳達も毎日、病室に来て琥珀に声をかけるが頑なに離れない。

「ダメだ!椿姫の傍にいる!絶対放れない!
あの時、椿姫がどんな気持ちで飛び降りたのか、俺にはわかる。
椿姫が目が覚めた時、俺がいないと意味がない」

「琥珀さん、椿姫が目を覚ましたらずっと傍にいてあげて…!!」
その光景や琥珀の言葉に、さすがの彩姫子もこれ以上二人を止められないと思ったのだ。

「え…?彩姫子おば?」
「やっぱりあなたは、梨沙子にそっくり。
自分がどんなに辛くても、愛する人の為に尽くすところ。
だから、あなたを見てると私が惨めになってたの。
私は自分のことばかりで、周りが見えなかったから。
椿姫のこと、お願いします。琥珀さん。
あ、でも今回のように傷つけたら、別れさせるから!」
「はい、ありがとうございます!
幸せにしかしませんから、安心して下さい!」
彩姫子想いに、しっかり答える琥珀。

椿姫の手を握り直し、
「椿姫、俺達…結婚できるよ!
早く起きてよ!
一緒に幸せになろうよ!
頼むよ…起きて、また“琥珀、大好き”って言ってよ!」
椿姫の額に自分の額をくっつけた。

「ん…こ、はく…」
「椿姫…!?」
「椿姫!?」
みんながベットに駆け寄った。
「琥珀…」
椿姫がゆっくり手を掛布団から出し、琥珀の頬に触れた。
「椿姫…おかえり…!」
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