白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
結婚とか嫁とか、無理ですから!
 枕もとに置いた、デジタル時計の目覚ましの音に起こされる私。

 布団の中から手を伸ばして、目覚ましの音を止める。

 はあ、なんだかまだ眠いなあ。

 身を起こすのがおっくうで、私は布団をかぶったままもぞもぞと動く。

 きっと変な夢を見たせいだ。

 拾ってきた二匹の子猫が実は猫神候補で、よくわからないうちにわが家にすむことになったとかいう、奇想天外な夢。

 きっと毎日の猫神様への礼拝が嫌すぎて、そんな夢を見ちゃったんだろうなあ。

 なんてことを私は考えながら、やっと上半身だけ起こした。

 ――すると。


「おい白亜……! 俺が持ってきてたおやつ昨日の夜勝手に食っただろう!?」

「え? あれは元々ふたり分だったじゃん。最初に黒霧が俺の分まで横取りしたんだろ」


 自室の外から、元気そうな声が聞こえてきた。

 ふたりの男の子の、やんちゃそうなやり取り。


「ゆ、夢じゃなかった……」


 布団の上に座ったまま、私はがっくりと項垂れる。

 夢だって思いたかった。

 だ、だって、猫神候補のふたりの男の子が、いきなり同居することになって。

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