LOVEDOUBT ホスト×女子高生


ナツキは私から離れると、
照れたように私の顔は見ずに、背を向ける


そんなナツキの背中を見ていると、
こちらを振り向かせたくなる




「ナツキはこんな広い部屋に一人で住んで、寂しくないの?」


この寝室も、とても広い


二人で居ても、広過ぎるくらいに




「べつに、寂しくないし」


言葉とは逆で、その背中はとても寂しく見える



私はそんなナツキを、
背後から強く抱き締めてしまう



ナツキの体は痩せていて細いけど、
男性らしく筋肉質で逞しい


なのに、こうして守ってないと壊れそうなくらいに、脆く感じる




「寂しいくせに」


さらにギュッと強く抱き締めると、
ナツキはそんな私の言葉を否定する事はなく、
ただ黙っている


そして、私の回している手に、ナツキはそっと手を重ねて来た


その手は、とても温かい




「しばらく、このままで居て。
今、俺顔とか見られたくないから‥‥」



「――うん。分かった」



今、ナツキがどんな表情を浮かべているのかは分からない



ただ、声から、泣いているのが分かった


だから、私は力の限りナツキを抱き締めた



ほんの少しでも、ナツキを襲う孤独から救ってあげたかったから




私は人の感情や気持ちとかに鋭い方じゃないけど、
なぜかナツキの思っている事が不思議なくらいに分かってしまう





ナツキと出会ってまだ数時間しか経っていないけど、
彼の心が傷付き壊れそうなくらい悲鳴を上げている事が分かる



彼が今までどんな人生を歩んで来たかは知らないけど、
今ナツキは満たされているように見えない



完璧な容姿に、
きっと、お金だって有り余る程持っていそう


No.1ホストだって、
周りからチヤホヤされているのに




なのに、なんでこんなにも寂しがっているのだろう
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