オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
罪悪感
「しっかりしろっ…奈央」

私の鼓膜に届く声は耶刃さんの声。

目覚めと共に意識が浮上していく。
目を開けると耶刃さんの顔が飛び込んだ。

「耶刃さん?」

私は目を開けて辺りを見回す。

「風邪でぶっ倒れたらしいな‥栗原から訊いた」

その名前を訊き、私は額に手で押さえる。額には熱覚ましシート貼られていた。

今、一番訊きたくない名前。

私はカラダを起こして、自分の恰好を見る。

脱がされたホテルの浴衣はキレイに着せられ、シーツの乱れも全くなかった。

あの彼との交わりがウソのように証拠が全く残っていない。

何よりも私の風邪の熱は潮が引くように引いていた。

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