彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
それぞれの人生
 3年後。

 暖かい春の日差しが心地よい季節。
 桜の花びらが舞い落ち、太陽もキラキラと輝いている。

 変わらない金奈市の街並み、相変わらず駅前は人で賑わっている。

 平日のオフィスビルは大勢の人が行き交い、忙しそうにバタバタとしている。

 
 オフィスビルのワンフロアを牛耳っていた上野坂財閥は本社をアメリカに移した。
 社長の優はアメリカに移住して、ジュリーヌを秘書に置いていつも一緒に仲睦まじく楽しく仕事をしている。

 支店となった日本には。
 

「今日もいい天気だ」

 爽やかな笑顔で社長室から外を見ているのは、優の息子の大紀。
 3年前とは随分と雰囲気が変わり、優しい表情のイケメンへと変わった大紀は、現在支社長として日本の会社を任されている。
 宗田ホールディングで2年勤務して、営業部で営業部長まで出世したが、優がアメリカに本社を移す計画を決めた事から退職して、優の下で支社長になるため修行をしていた。
 
 現在支社長になってもうすぐ1年経過する。
 
 紺色のスーツにえんじ色のネクタイがとても似合っていて、支社長としての貫禄もバッチリである。

 あれから宗田ホールディングの営業部で知り合った女子社員と交際を経て、退職と共に結婚した大紀は現在は1児のパパである。
 産まれてきた子供は男の子でとっても可愛く、もし、ジュリーヌが普通に子供を産んでいたなら弟が産まれた時はこんな感じだったのだろうかとちょっと昔を思い出していた。
 弟の事を可愛がってあげられなかった分、産まれてきた子供には沢山の愛を注いであげたいと思っている大紀である。 
 
 
 宗田ホールディング。
 相変わらず業績はますます伸びるばかりで、現在は新しい部署ができ薬剤関係にも関わり新しいサプリメントや薬の開発も手掛けるようになった。
 
 柊は1年前に社長への就任した。
 宇宙は会長として、相談役に回り現在はたまに出勤するだけでのんびりと趣味を楽しみながら過ごしている。
  
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