ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
新婚生活の幸せを感じて!


「ふふふ、ついに月菜(つきな)さんが柚瑠木(ゆるぎ)さんを陥落させてしまったのね。まあ結果は分かっていたようなものだったけれど」

 ドリンクのストローをクルクルと回して、恥ずかしそうに上目遣いでこちらを見てくる月菜さんが可愛らしいわ。きっとあの日から柚瑠木さんに思いきり甘やかされ愛されているに違いない。
 あの冷徹男は私達には相変わらず無表情だけど、月菜さんを見る目はまるで違うものになっていた。今は男性だけで集まり仕事の話をしているようだけど、聖壱(せいいち)さんは揶揄いたそうな顔をしていたわね。

「どうして分かるのですか? 今日きちんとお話しようと思ってた事なのに」

「そんなの柚瑠木さんの月菜さんを見つめている様子だけで分かるわよ。最愛の妻にはあんな甘い顔をしてみせるのね、あの冷徹男は」

 月菜さんは不思議そうな顔をするけれど、雰囲気が全然違うから誰だって気付くわよ。甘ったるい柚瑠木さんの顔を思い出すだけで、これからどう弄ろうかと想像を膨らませ「むふふ」と笑ってしまう。

「あの……契約結婚からこうして本当の夫婦になり、二人にとって何が変わりましたか?もし良ければ教えてもらいたくて……」

 杏凛(あんり)さんが月菜さんと私にそう聞いて来るのは珍しい事だけど、彼女がそれだけ匡介(きょうすけ)さんとの関係に悩んでいる事が分かる。本当はお互いに相手の事を想っているのではないかと思うけれど、まだそこまでは口出しできない。

「ええ、変わりました。私も柚瑠木さんも……でもそれは杏凛さんが匡介さんと二人で見つけて欲しいので、今は内緒です」

 ふふふ、と月菜さんは私と顔を見合わせて微笑んだ。きっと彼女は杏凛さんに匡介さんと本当の夫婦になって欲しいとの意味を込めて言っているのでしょう。それは、私も同じ気持ちだわ。


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