心地よい柔らかな光の差す電車の窓辺で頬杖を付きウトウトしていると、ふいに光輝く眩い光に照らされた。

まどろみの中その光を拒むようゆっくり眼を開けると、息を飲む程に美しい夕映えの幻想的な景色に一瞬で釘付けになった。

まるで女神の降臨を連想させる黄金色に燃ゆる満開の桜と静かな河川の水鏡が創る春の絶景、逆さ桜。

ガタンゴトン揺れる車窓から連なる美しい桜と溢れる光の共演に時を忘れて見惚れていると、無条件に幸せオーラに包まれた。

待ち望んだ大好きな春の訪れを、ただただ幸せに浸れる事が堪らなく嬉しい。

今年は、例年より随分早い開花ね。

限りなく満たされながら手前の河川敷に眼を移すと、お揃いの青Tシャツを着た少年達が、少しずつ陽の落ち行くグランドでストレッチをしていた。

左右にサッカーゴールが見えるから、きっとサッカー部ね。

青春ね……。

かすかに微笑む私の脳裏に、懐かしい青き春の記憶が甦る。

生まれて初めての甘酸っぱい想い……
10年以上経った今でもふと想い出す。

その鍵は、桜、サッカー、花火。

十七歳の私に初めてトキメキを運んでくれた。

それ以上に焦げ付くような胸の痛みと絶え間なく溢れる涙、どこまでも眠れぬ夜を……。