結婚願望ゼロだったはずの純が、まさかまさかの公開プロポーズの後、黙々と言われ放題という奇跡連発を目にして純への怒りもすっかり収まっていた。

しかし純は、せっかく和やかな再会トークが始まったというのに、反動からかまた女子相手に容赦ないタイマントークに発展して行った。

幼なじみの子も減らず口で一歩も引かず、おいおい夫婦漫才かよ!? ってツッコミたくなるほどの喜劇を繰り広げていた。

その間に純の彼女は、消え去ってしまった。

プロポーズ後に何やってんだか……
フラれる覚悟しておいた方がよくね?

ま、純のことだから勝算あってのことだろう。

メンバー達も慣れているのか、横目で笑いながら誰も止めることなく練習を開始。

それらを再びベンチから高みの見物していると、倫が右隣に座って来た。


「お帰り淩。遅くなってごめん」


倫は、いつも通り少しタレ目の眠そうな顔で微笑みかけてきた。


「ただ今。いやいやお陰様で超驚愕、最高に面白いエンターテイメント見せてもらったし。感謝無限大、マジ サンキュー」


いつもの力の抜けた顔に癒されながら、ノリは軽いが心から感謝を伝えた。

すると倫は、首を横に二回振った。


「俺も知らなかった。純来る予定じゃなかったし。もう卒倒しそうなほどびっくりよ」


言葉と裏腹に淡々と語る口調から、全然びっくりしたように見えない。

実に倫らしいと感じた。

これでも今や若者に人気のオンラインゲームを提供するIT企業の社長である。

まだ時差ボケの名残りのある俺は、すっかりリラックスし眠気に襲われてきた。