スタジアムを出ると、少し冷たい風が頬を掠めて行く。

ボンヤリした頭も少しづつ冴えてきた。

……雨の匂いがする。

夜から雨予報だっけ。

煙草に火を付け一息着くと、すぐ近くの七分咲きの桜が目に入ってきた。

今年は、数年ぶりに満開の桜が見れるな。

久々に花見もしたい。

何気に桜に歩み寄ると、スタジアムに並行に30メートル程桜並木が続いていた。

……一人で桜を見ると、時々ふと想い出す。

懐かしい君のことを……。

まだ17歳の幼く不器用な恋と初めての失恋。

あれから10年、いくつか恋愛もして単なる青春の1ページと懐かしむ程度だった。

それなのに何故こんなにもザワつくんだ?

でも想い出す度願っていた。

どうか幸せに……と。

あれからずっと溝落ちに不快感が渦巻いてる。

君が、純の彼女だったことに違和感しか感じない。

勝手な思い込みとわかってても、どうしても腑に落ちない。

……まさか嫉妬? ……まさかな。

でも写真の純の隣で微笑む君が、ずっと脳裏から離れない。

……マジ疲れた。

やめよ。

俺は、疲労困憊の頭を無理矢理シャットダウンし、タバコの煙を思い切り吐き出した。