「ああ……もう……」


ここは、私の勤め先のよつば幼稚園。

昼食を終えた園児達は、新設されたばかりの立派な南向き園舎前に広がる園庭で元気に走り回っていた。

園児達には、大型室内遊具が大人気で私的には冷暖房完備が嬉しい。

園庭には、ミニサッカー場、大型複合遊具等
があり充実した設備が自慢となっている。

私が、園庭東に設置された赤いジャングルジムに前屈みで寄りかかっていると、どこからか玲の呼び声が聞こえてきた。

顔を上げると、西側の鉄棒から私に手を振りこちらに歩み始める。

私の頭の中は、金曜の夜にやらかしてしまった事を何度も思い出しては消去したい衝動にかられていた。

せっかく藤井君に送ってもらえたのに、いつの間にか寝るという大失態をおかしていたから。

優しい彼は、私を気遣い我が家から少し離れた所でかなりの間寝かせてくれていた。

でも空腹感に耐えられずお持ち帰りのお寿司を食べていた。

その匂いに反応したのか、ボーッと空腹を感じながら目を覚ますと、彼の微笑みと共に目の前に大好きなマグロを『あ~ん』と差し出され無意識に口を開けていた。

口の中にサッパリした甘みが広がり満足感に満たされると共に、脳が活動を始め飛び起きた。

いつの間にか眠りやすいようにシートは倒され文字通り飛び起きた私に、彼は笑いながら私の分を差し出してくれた。


「具合悪いの?」


「全然」


玲は、また作り笑いをする私の左隣に笑いながらもたれ掛かった。